※ 実生の利点
実生とは種から芽を出し成長することをいいます。山野に生えている植物はほとんどが実生から生じたものです。
園芸では種を蒔いて増やすことを実生といいます。
①一度に大量の苗を増やせること。接ぎ木用の台木をふやすのにも最適です。
②芽生えからその環境で育つので地域に適応して健全に生育することができます。
③遺伝的に雑ばくなので実生では親の形質が子にそのまま伝わることがありません。色んな形質を持ったものが生まれてきます。 これは実生の魅力のひとつです。
☆ 種の採取と保存方法
種は熟してから取るのが普通ですが、完全に熟すると休眠状態に入ることがあります。完熟する前に採種したほうが発芽率が良くなります。
秋に熟した種は、採ってすぐに蒔くのが一番自然ですが、冬の管理が難しいときは翌年の春まで保存します。
種は多肉種と乾果種に大別されます。 多肉種に包まれた多肉種は、その果肉や果皮に発芽を抑制する物質が含まれているので採取したら果実をもみつぶし水洗いをして果肉をきれいに取り除きます。
乾燥させないようビニールの袋に入れ翌春の種まきの適期まで冷蔵庫で保存します。
乾果種の種は、湿らせないよう紙袋などに入れ、日陰の涼しいところや冷蔵庫で春まで保存しましょう。
☆ 種の蒔き方と適期
自然に生えている植物は種が熟して地上に落ち温度や水、空気など3条件が適合すると発根や発芽します。秋に熟した種は採り蒔きにするのが自然な形です。
但し、冬に寒害や凍害のおそれがある場合は、種を乾かさないように保存して翌年3月頃に蒔きましょう。
蒔き床は種が多いときは庭の隅などへ土を持ってそこに蒔きます種が少ないときやベランダで育てるときは鉢やプラスチック製の育苗箱などでよいでしょう。
用土は保水性のある清潔なものを使用しましょう。
蒔き方は種の大きさによってばら蒔き、すじ蒔き、天蒔きなどを行います。
● ばら蒔き
細かい種などを蒔くのに向いています。
● すじ蒔き
線状に溝を付けてそこに蒔きます。中くらいの大きさの種まきに向いています。
● 点蒔き
大きな種は3粒くらいずつ蒔きます。
☆ 種を蒔いた後の管理方法
種まき後は半日陰に置き、用土を乾かさないように管理します。
発芽後は徐々に日に当てて慣らしていきます。ばら蒔きなどで密植状態の時は適当に間引きしましょう。
生育状態にもよりますが、一般的には8月下旬~9月上旬に薄い液肥を施します。
移植は翌年の春に新芽が新芽が伸びる前に行います。 移植の際は、側根を出させて根張りを良くするため直根を切り詰めます。
☆ 発芽後の管理
① 密植状態では生育が悪くなるので元気な苗を残して間引きしましょう。
② 移植は翌年の春にしましょう。
③ 直根が長く伸びたものは、適当な長さに切り詰めつめてから移植しましょう。