※ とり木の利点と欠点
とり木は親木の枝や幹の一部に傷を付けることで、根を出させその部分から切り取って新たな個体を作る栄養繁殖のひとつの繁殖方法です。
☆ とり木の利点
① 簡単なふやし方で、根のついた成育中の親木の一部を発根させ切り取る方法です。
発根後切り取って植えれば葉を付けたままなので養水分を吸収するちゃんとする個体になっています。
② さし木や接ぎ木が困難でもとり木ではわりと簡単にふやせるものもあります。
③ とり木後成木としてすぐに鑑賞することができます。さし木や接ぎ木では若い枝を主に使いますが、とり木では相当年数を経た太い部分から発根させることもできます。
枝振りの良いところでとり木をすればすぐに鑑賞することが可能です。また花や実も短期間で楽しめます。
④ 下部の枝がなくなっていたり大きくなりすぎたものなどは、上部をとり木することで新しい個体をふやすと共に親木の樹形を整える役目もします。
☆ とり木の欠点
一度に多く増やすことができません。とり木は親木の一部を切り離して独立した個体をつくるものなので、さし木のように一本の親木からたくさん増やすことはできません。
☆ とり木の方法
樹皮の一部を傷つけて葉で作られた炭水化物を遮断することで発根させるのがとり木です。
● 高とり方
枝の途中で表皮を剥き、その部分に湿らせた水ごけを巻いてビニールでくるみ発根させます。 剥き方には枝や幹の表皮を1周分ぐるっと剥き取る環状剥皮と丸々間隔を取って舌状に剥く舌状剥皮があります。
どちらの方法でも内側の木質部が現れるまで表皮を剥くことが大切です。
水苔の代わりに剥皮した部分にポリポットなどを巻いてその中に赤玉土を入れる方法もあります。
● 圧条法 (曲げどり法)
若い枝やひこばえを地中に誘導して発根させる方法です。
とり木部分は剥皮するか針金を強く巻いて養分を遮断しておきます。
● 盛り土法
株立ち状になるものやひこばえが伸びているものなどでは根元近くに土を盛って発根したら堀りあげます。
発根しやすいよう環状剥皮するか針金を強く巻いておくと効果的。
※ 取り木後の管理
水苔が乾燥しないよう親木への水やりと一緒に取り木部分の水苔にも水を与えます。
ビニール越しに水苔の外まで根が10本くらい出てきたら親木から切り離します。
切り取ったら根を傷めないよう丁寧に水苔を取り除きます。バケツの水に1~2時間ほどつけてから行うと楽に取れます。
排水性と保水性のよい用土で植え付けたら風などで株がぐらつかないようにひもで鉢に固定します。
たっぷりと水やりをし1週間くらいは半日程度陰に置き徐々に日に当てていくます